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当研究室で2018年から研究を開始した世界自然遺産 知床の海岸に堆積する漂着ゴミの問題がメディアで取り上げられました。まだ研究の途上ですが、遺産内の核心地域の海岸におけるゴミの現状について映像とコメントを提供させていただきました。

NHK #知るトコ、知床チャンネル 第2回「海洋ゴミと知床」

地元のボランティアのみなさんが自治体や環境省の協力を得ながら清掃活動を行っていますが、そのゴミの量は膨大で、しかも漁具などの大型ごみ(漁網やロープ)が多いため、なかなか漂着ゴミの量は減りません。また、核心地域という一般の立ち入りが厳しく制限された地域でもあるため、ボランティア活動もなかなか簡単ではないというのが現状のようです。

当研究室では、UAV(ドローン)とSfM技術を用いて漂着ゴミと流木の堆積変化をモニタリングし、漂着ゴミの質量収支を解明したいと思っております。これにより、どの時期にどれだけのゴミを回収すれば、現状の改善に繋がるのかを提言できると考えます。

2020年はコロナ禍で調査が遅れ気味ですが、9月と11月に現地調査を行う予定です。

 アムール川・アムールリマン・オホーツク海のミニチュア版として、別寒辺牛川・厚岸湖・厚岸湾を選んで陸面から外洋に至る物質循環の研究が始まって丸一年が過ぎ、今年最後の観測を終えました。慣れない感潮河川の観測に四苦八苦しながらも、厚岸湾への河川流出量を定量的に把握するために、大学院生と共に2ケ月に1回のペースで厚岸を訪ねました。最後の観測は、結氷した水面を割っての観測でした。
 一年を通して訪ねることではじめて見えることも多々ありました。一番印象的なのは、湿原の淡水貯留機能。どんなにたくさん雨が降っても、しっかりと湿原に貯めて、じわじわっと水を流す河川群には驚きました。感潮河川ゆえの塩水遡上と共に、川から海への物質輸送に対して大きな影響を与える機能です。
 ミニチュアと言っても、それはアムール川と比べるからであって、調査をするには十分すぎるくらい壮大なフィールドです。来年は、更に詳細な過程を解明すべく、別寒辺牛川水系に通いたいと思います。
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オホーツク海の熱塩循環に及ぼすカムチャツカ半島の河川からの淡水供給の影響を解明すべく、今夏はカムチャツカ半島最大の河川であるカムチャツカ川に注目して現地調査を行いました。調査を行ったのは、7月16日から7月30日の16日間。まずはカムチャツカ川の河川水が沿岸域でどのように広がっているのかを解明すべく、ペトロパブロフスクからカムチャツカ川の河口に至る沿岸海域を船舶を利用して航行しました。調査項目は水温・塩分の鉛直観測と採水です。次いで、カムチャツカ川の源流からカムチャツカ川の河口の町 ウスチカムチャツカまで陸路で移動し、カムチャツカ川の水温測定と採水を実施しました。海洋観測では船酔い、陸上観測では蚊の猛攻撃に悩まされましたが、貴重なデータを取得することができました。来年は、同様な観測をカムチャツカ半島のオホーツク海側で実施したいと思っています。

平成29年度 北海道大学低温科学研究所開拓型研究課題(代表 長尾誠也)「陸海結合システムの解明ーマルチスケール研究と統合的理解ー」の一環として、北海道東部の別寒辺牛川水系〜厚岸湖〜厚岸湾〜沿岸親潮に至る物質輸送の研究が全国の研究者との共同研究として始まりました。

我々河川グループの研究課題は、別寒辺牛川から厚岸湖に供給される淡水量とそこに溶存している様々な物質の濃度・フラックス測定です。10月初旬の陸・汽水域・外洋の同時観測に向け、河川グループは厚岸湖に流入する河川群において流量観測と水圧式水位計・電気伝導度計の設置を行いました。

本年度は、11月初旬まで継続的に観測を行い、次年度以降のプロジェクト立案に向けて基礎データの収集を試みます。
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山地河川における懸濁物質(浮遊物質)の時間・空間分布観測を計画したものの、電磁流速計の故障や関係行政機関からの調査許可取得に手間取っているうちに、出遅れてしまった感がありましたが、ようやく観測を開始にこぎ着けました。4月17日に流域の積雪水量の空間分布を測定すると同時に、河床に水圧式水位計を設置し、水位の自期観測を開始しました。4月25日には流量観測を行い、水位計も再設置し直しました。近日中にADCPの設置も実施する予定です。今後は、水位変化に応じて流量観測を実施すると共に、融雪期中は2週間に一度程度、流域の積雪水量分布の観測を行う予定です。

融雪期と降雪イベントに着目し、雪が降るまで観測を継続しようと考えています。

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山地から供給される懸濁物質の時空間的な変動を調べるべく、札幌近郊で試験地とすべき流域を3月から探していましたが、空沼岳を流域の最高峰とする真駒内川・万計沢川を対象とすることにしました。好天に恵まれた昨日、現地を査察してきました。引き続き、今週末には試験的な流量観測を行い、流域内の積雪水量分布の調査を行いたいと思います。

低温科学研究所 環オホーツク観測研究センターが中心となって企画立案した研究プロジェクトが科学研究費 基盤研究Aとして採択の内定をいただきました。平成29年度から31年度にかけて、カムチャツカを舞台に、陸と海をつなぐ研究を実施します。

研究代表者:三寺史夫(北海道大学 低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター長)
研究課題名:カムチャツカ半島の淡水供給が制御する環オホーツク陸海結合システム
研究分担者:白岩孝行・西岡純・中村知裕・的場澄人・杉山慎・立花義裕・美山透
連携研究者:中田聡史・中野渡拓也・藤井陽介・田口文明

Kamchatka river

低温科学研究所が発行している低温研ニュースに、2016年の国後島での河川調査について書きました。

低温研ニュース No.42

Sasaki,H., Matoba, S., Shiraiwa, T. and Benson, C.S. (2016) Temporal Variation in Iron Flux Deposition onto the Northern North Pacific Reconstructed from an Ice Core Drilled at Mount Wrangell, Alaska, SOLA, 12, 287-290.

福田知子・押田龍夫・Nevedomskaya Irina A.・Bobyr Igor G.・八木欣平・河合久仁子・白岩孝行・大泰司紀之 (2016): 国後島の「ストルボフスキー生態観察路」の生物相概説,哺乳類科学,56(1),71-76.