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9月 21

羊蹄山:気温・地温計設置

環境省、文化庁、後志総合振興局から研究に必要な各種許可をいただいたので、修士1年飯田幹太さんの修論研究、羊蹄山山頂における永久凍土探査の研究が始まりました。永久凍土の存在を確認するためには、大地に縦孔をあけ、その中に温度計を設置して1年間にわたって温度を計測する必要があります。ある深度で、もし1年間にわたって氷点下の温度が記録されれば、それが永久凍土です。地表面下の地温は、大気からの熱と、地球内部からの地熱の二つのバランスで決まります。北海道のような寒冷地では、冬季の冷たい大気によって地表面は凍結しますが、春になると日射によって融けてしまいます。このような凍土は、季節凍土とよばれ、永久凍土とは違います。寒冷地とはいっても、夏には気温が上昇し、地表面から地下に向かって融解が進行します。ですから、もし永久凍土があるとすると、夏の融解が到達しない深さにあるはずです。これが5mなのか、10mなのかは、その場所の気温の季節変化と大地を構成する物質の熱伝導率によって変わってきます。ですから、10mくらい縦孔をあけ、その中に地温計を設置することで、地下の温度を計測する必要があるのです。

秋晴れと紅葉に恵まれた第1回目の調査では、重い掘削機材と掘削に必要な20Lの水を山頂に持ち上げました。コロナ禍で羊蹄山での宿泊ができないため、作業は日帰りとなります。短い作業時間を効率よく使い、気温計1ケ所と深度1mの地温計を2ケ所設置しました。安山岩でできた大地はなかなか掘削が難しいこともわかりましたので、10mの掘削は来春までの継続作業となるでしょう。まもなくやってくる初雪の前にできるだけ作業を進めるべく、好天を逃さないよう作業を続ける予定です。

羊蹄山山頂の掘削作業

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