Archive for the ‘research’ Category
1. 魚附林を巡る物質循環
2.アムール川流域の土地利用変化が河川溶存成分に与える影響評価
3.アムール・オホーツク陸海連環と流域ガバナンス
4.網走川の流域ガバナンス
5. 認識共同体としてのアムール・オホーツクコンソーシアム構築
6.山岳雪氷コアを用いた古気候・古環境復元
1.Material flow in a fish-breeding forest (Uotsukirin)
2. Impact assessment of land-use changes in the Amur River basin on the soluble elements
3. Governance of the Amur River basin
4. Governance of the Abashiri River basin
5. Organization of the Amur Okhotsk Consortium as an epistemic community
6. Paleoclimate and Paleo-environmental reconstruction by means of ice core analyses

一昨年から網走川流域の流域ガバナンスに興味を持って、修士課程の大学院生である倉野健人さん、藤島洸さんと一緒に調査を進めています。そもそものきっかけは、当時、北海道開発局におられた染井順一郎さんを通じてでした。アムール川流域とオホーツク海の越境環境保全を議論していた際、上流・下流問題の解決の難しさに直面していた私に、染井さんは日本で画期的な試みが進んでいることを教えてくれました。それは、網走川流域で開発局が進めていたサーモンアクションプランと呼ばれる「流域の農業と漁業が連携して河川環境の保全に取り組み、それをもって産品のブランド化を図るという地域づくりの試み」です。
土地利用の進んだ我が国では、利用の方法や内容に応じた様々な物質が河川に流入します。これらの物質は、河川を通じて下流に輸送され、汽水域や沿岸部に蓄積します。たとえば、農業で使用される化学肥料は、河川への窒素やリンの負荷を高め、時に汽水域や沿岸域で赤潮の発生を引き起こします。このため、日本の各地で農業と漁業という基幹的な一次産業が対立する図式が繰り返されてきました。アムール川とオホーツク海の間で成り立つ鉄を介した陸海連環もその一事例と考えます。
「日本でできないことを、どうして大陸の国々に伝えられるだろうか?」。染井順一郎さんの問いかけは、とても大きなものでした。アムール川の問題に対して、なにかヒントが得られるかもしれない。こうして、網走川流域との付き合いが始まりました。
つづく

私が担当している北海道大学大学院 環境科学研究院 環境起学専攻 人間生態システムコースのカリキュラムのひとつである統合環境調査法実習が6月16〜20日の5日間にわたって行われました。中国に出かけていたため、一日遅れで、17日から参加してきました。
17日は早朝に札幌を出る時から雨。十勝に入ると激しい雨が降っており、トッタベツ川の観察を終えた本隊と帯広駅で昼に合流。午後の実習は取りやめ、十勝岳温泉で汗を流しました。中国から休みなしでの参加だったので、いい休息になりました。泊まりは十勝清水の旧小学校。
18日の午前中は、十勝川水系の渋山川で砂防ダムの建設に伴って生じた下流部の下方浸食の現状を観察しました。人間の努力が裏目裏目に出る河川改修の難しさを学びました。その後、高速道路を利用して、足寄経由で網走川流域に移動。河川流量観測を学び、河川水のサンプリングを複数回繰り返しました。その他、pH,水温、濁度などの測定法を学んで能取湖畔にある網走市の水産科学センターに投宿。
19日は汽水域でサンプリングを行った後、支流のひとつであるキキン川流域の土地利用を観察。その後、津別町の有機酪農家でいらっしゃる山田照夫さんの牧場におじゃまし、有機酪農への取り組みについてお話を伺いました。津別町で昼食をとった後は、網走川で実践されている多自然型川づくりの現場を観察し、16:00過ぎから水産科学センターで網走市水産課の渡部さんと、網走漁業組合の新谷さんに網走の漁業の現状と流域保全の取り組みについてお話を伺いました。また、網走川をフィールドに修士論文を準備している倉野君と藤島君が、研究の中間発表を披露しました。夜は、多くの皆さんに集まっていただき、新谷さんにいただいた立派なホタテを使ってバーベキュー。ハッピーな飲み会となりました。
20日は台風の影響で風の強い中、石北峠経由で札幌に戻りました。途中、塩別つるつる温泉で汗を流してきました。
この実習が終了すると、修士1年生の皆さんもいよいよ本格的に修士論文のテーマ選びが始まります。