Archive for the ‘research’ Category

Ceremony of Partnership agreement between Abashiri city and the ILTS

北海道大学低温科学研究所と網走市との相互協力に関する協定締結

Opening of the Abashiri Station

北海道大学低温科学研究所 附属環オホーツク観測研究センター 網走ステーションの開設

過去2年間にわたり、大学院生2名と一緒にやってきた網走川での仕事がきっかけとなり、網走市と北海道大学低温科学研究所の間で相互協力協定が締結される運びとなりました。

ミニ研究会 森川海とその保全

日時:3月6日13:00~
場所:低温科学研究所 新棟 3F交流ラウンジ

プログラム

1. 夏目奏「土地被覆・土地利用の違いが河川水質成分および沿岸の磯焼けに与える影響評価 ~道南 上ノ国を例に~」

2. 藤島洸「流域の土地利用が河川溶存成分に与える影響評価:網走川の事例」

3. 倉野健人「網走川流域ガバナンス」

4. 長坂晶子「森川海と流域保全(仮)」

5. 三島啓雄「GISと流域(仮) 」

6. 河原淳「「NPO法人 えんの森」の取り組み(仮)」

7. 白岩孝行「アムール・オホーツクシステムから考える流域保全」

Lake ice research

 1月16日から19日にかけて、道北の網走湖に調査にでかけてきました。修士1年生の大畑さんの野外調査です。網走湖に発達する湖氷の形成プロセスに関する研究で、11月中旬の未結氷時に調査して以来、2度目の調査となります。

 湖氷上で調査を行った17日と18日は幸いにして無風・快晴。キリリと冷え込んだ網走湖の上を、西網走漁業協同組合の川尻さんのご案内の下、スノーモービルで走り回りました。厳しい冷え込みのためか、湖氷の厚さは30cmを越え、安心しながら湖氷と積雪のサンプリングを実施できました。

 次の調査は2月。更に発達した湖氷に出会えることと思います。

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9月25日から9月30日の6日間、アムール・オホーツクコンソーシアムの主催で、日中露モ四カ国の研究者による標記の研究航行がアムール川で実施されました。以下、6日間の船上会議を経てとりまとめられた共同声明です。本日、ロシア科学アカデミー極東支部 水・生態学研究所にて記者会見を行い、発表します。

JOINT STATEMENT
OF THE AMUR OKHOTSK CONSORTIUM 2012 JOINT SYMPOSIUM

The Amur River Basin has rich and varied natural resources, which could provide the sustainable development of the significant part of the Northeast Asia. This area has also an important environmental value for our planet. Natural landscapes, biodiversity and cultural diversity of the Amur basin are unique and of global significance. Their conservation and sustainable development are long-term goal of all states in this region.

Climate change and human activities inevitably affect natural conditions of Amur River. They demand continuous research, monitoring and control from the governmental authorities, scientific and public communities.

Comprehensive studies on hydrological, geochemical and ecological problems of the Amur Basin have been carried out and important scientific results have been obtained in Mongolia, China, Russia and Japan. The research results have significantly improved our knowledge on modern state and dynamics of regional water resources. Important measures are taken to prevent Amur water pollution, which have already substantially improved water quality.

SYMPOSIUM OUTCOMES

The following findings were reported and discussed:
1) Impacts of large hydropower facilities and ice conditions on Amur water quality and bank erosion;
2) Ecological improvement and water purification efforts by restoration of riparian wetland along rivers;
3) Influence of climate change, floods and irrigation on iron flux in water ecosystems;
4) Comparative analysis of hydrological processes in Asian big rivers.

PROPOSALS

Some data and estimates obtained in the various countries have discrepancies or even contradict. Namely, discussions revealed some discrepancy of hydrochemical research data and estimates. To overcome this problem further studies and collaboration of national authorities, scientific and public organization should be strengthened.

Symposium participants think necessary the comparison of water quality criteria, applied in different countries, as well as relevant data and information exchange. They propose to 1) compile the list of observation stations and scheme of official monitoring network on the Amur Basin rivers; and 2) trace dissolved and suspended material from the headwater to the estuary (Amur Liman).

Symposium participants introduced new scientific problems, which need collaborative efforts of scientists and specialists from various countries, and stress the urgency to deepen cooperation with environmental NGOs to conserve geo- and biodiversity in the Amur Basin.

We confirmed that in order to realize and strengthen the statement mentioned above, the Amur-Okhotsk Consortium would hold the 3rd International meeting at Vladivostok in 2013 with the support of Pacific Geographical Institute, Far Eastern Branch of the Russian Academy of Sciences.

October 1, 2012
Participants to the 2012 Joint Research Cruise in the Amur River organized by the Institute of Water and Ecological Problems, FEBRAS, and the Amur-Okhotsk Consortium

Lectures at the Institute of Water and Ecological Problem (FEBRAS)

ロシア科学アカデミー極東支部 水・生態学研究所で講義を拝聴

9月25日〜9月30日の6日間、私たちの企画で、アムール・オホーツクコンソーシアムとロシア科学アカデミー極東支部 水・生態学研究所との共催による四カ国の研究者によるアムール川の共同観測クルーズが行われます。準備の都合もあり、私は20名の参加者に先んじてハバロフスクにやってきました。

早く来たもうひとつの目的は、9月22日から始まる東北大学の竹本先生、占部先生、中静先生らによる東北大学生物適応グローバルCOEプログラムに部分参加するためです。このプログラムは、博士課程の大学院生を対象にしたものです。極東ロシアの少数民族であるウデヘ族の人々が伝統文化を守りながらいかにして持続可能な社会を築いていくか。いくつかのチームに分かれて調査を行い、実行可能な企画書を作るという大変ユニークな試みです。この地域で長年にわたって先住民族の社会を見守ってきたNGOタイガの森フォーラムがバックアップしています。

22日は、私たちがアムール・オホーツクプロジェクトでお世話になったロシア科学アカデミー極東支部 水・生態学研究所で、4人の先生から極東ロシアの環境とツーリズムについてレクチャーを受けました。私の役割は、東北大学と水・生態学研究所の橋渡し。とは言っても、実際には学生さんと一緒に講義を拝聴しただけで、たいしたことはできませんでした(苦笑)。しかも、前半は時差ぼけがひどくて、コクリコクリ。旧知の副所長マヒノフ教授から、「お疲れのようで」と言われる始末。まったく面目ありません。

前夜の遅い到着もなんのその。若い東北大学の皆さんは、23日朝、目的地であるアムール川の支流ウスリー川のそのまた支流のビキン川上流にあるクラスノヤール村に出発しました。

実り多い調査でありますよう、そしてこれからも極東ロシアに興味を持ってもらうよう、学生さん達の前途を祝して、一人、ハバロフスクのホテルで祝杯をあげています。

さて、いよいよ明日には、中国、モンゴル、ロシア、そして日本から20名の仲間がハバロフスクに集結します。楽しみです。

Naturnaher Wasserbau

網走川において近自然河川工法によって施工された水制の見学

【修士課程2年】

倉野健人:「網走川の流域ガバナンス」

藤島 洸:「網走川流域の様々な土地利用下における河川負荷」

夏目 奏:「道南上ノ国 天ノ川および石崎川における土地利用の違いが河川に与える影響評価および磯焼けとの関連」

【修士課程1年】

大畑 有:「網走湖における湖氷の形成過程」

1. 魚附林を巡る物質循環
2.アムール川流域の土地利用変化が河川溶存成分に与える影響評価
3.アムール・オホーツク陸海連環と流域ガバナンス
4.網走川の流域ガバナンス
5. 認識共同体としてのアムール・オホーツクコンソーシアム構築
6.山岳雪氷コアを用いた古気候・古環境復元

1.Material flow in a fish-breeding forest (Uotsukirin)
2. Impact assessment of land-use changes in the Amur River basin on the soluble elements
3. Governance of the Amur River basin
4. Governance of the Abashiri River basin
5. Organization of the Amur Okhotsk Consortium as an epistemic community
6. Paleoclimate and Paleo-environmental reconstruction by means of ice core analyses

Seedlings of brackish-water clam

西網走漁業協同組合の皆さんによるヤマトシジミの種苗作業

一昨年から網走川流域の流域ガバナンスに興味を持って、修士課程の大学院生である倉野健人さん、藤島洸さんと一緒に調査を進めています。そもそものきっかけは、当時、北海道開発局におられた染井順一郎さんを通じてでした。アムール川流域とオホーツク海の越境環境保全を議論していた際、上流・下流問題の解決の難しさに直面していた私に、染井さんは日本で画期的な試みが進んでいることを教えてくれました。それは、網走川流域で開発局が進めていたサーモンアクションプランと呼ばれる「流域の農業と漁業が連携して河川環境の保全に取り組み、それをもって産品のブランド化を図るという地域づくりの試み」です。

土地利用の進んだ我が国では、利用の方法や内容に応じた様々な物質が河川に流入します。これらの物質は、河川を通じて下流に輸送され、汽水域や沿岸部に蓄積します。たとえば、農業で使用される化学肥料は、河川への窒素やリンの負荷を高め、時に汽水域や沿岸域で赤潮の発生を引き起こします。このため、日本の各地で農業と漁業という基幹的な一次産業が対立する図式が繰り返されてきました。アムール川とオホーツク海の間で成り立つ鉄を介した陸海連環もその一事例と考えます。

「日本でできないことを、どうして大陸の国々に伝えられるだろうか?」。染井順一郎さんの問いかけは、とても大きなものでした。アムール川の問題に対して、なにかヒントが得られるかもしれない。こうして、網走川流域との付き合いが始まりました。

つづく

Discharge measurement

電磁流速計を用いた河川流量観測の実習

私が担当している北海道大学大学院 環境科学研究院 環境起学専攻 人間生態システムコースのカリキュラムのひとつである統合環境調査法実習が6月16〜20日の5日間にわたって行われました。中国に出かけていたため、一日遅れで、17日から参加してきました。

17日は早朝に札幌を出る時から雨。十勝に入ると激しい雨が降っており、トッタベツ川の観察を終えた本隊と帯広駅で昼に合流。午後の実習は取りやめ、十勝岳温泉で汗を流しました。中国から休みなしでの参加だったので、いい休息になりました。泊まりは十勝清水の旧小学校。

18日の午前中は、十勝川水系の渋山川で砂防ダムの建設に伴って生じた下流部の下方浸食の現状を観察しました。人間の努力が裏目裏目に出る河川改修の難しさを学びました。その後、高速道路を利用して、足寄経由で網走川流域に移動。河川流量観測を学び、河川水のサンプリングを複数回繰り返しました。その他、pH,水温、濁度などの測定法を学んで能取湖畔にある網走市の水産科学センターに投宿。

19日は汽水域でサンプリングを行った後、支流のひとつであるキキン川流域の土地利用を観察。その後、津別町の有機酪農家でいらっしゃる山田照夫さんの牧場におじゃまし、有機酪農への取り組みについてお話を伺いました。津別町で昼食をとった後は、網走川で実践されている多自然型川づくりの現場を観察し、16:00過ぎから水産科学センターで網走市水産課の渡部さんと、網走漁業組合の新谷さんに網走の漁業の現状と流域保全の取り組みについてお話を伺いました。また、網走川をフィールドに修士論文を準備している倉野君と藤島君が、研究の中間発表を披露しました。夜は、多くの皆さんに集まっていただき、新谷さんにいただいた立派なホタテを使ってバーベキュー。ハッピーな飲み会となりました。

20日は台風の影響で風の強い中、石北峠経由で札幌に戻りました。途中、塩別つるつる温泉で汗を流してきました。

この実習が終了すると、修士1年生の皆さんもいよいよ本格的に修士論文のテーマ選びが始まります。