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11月 21

別寒辺牛川の流量観測再び

10月初旬に訪れた北海道東部の別寒辺牛(べかんべうし)川流域の河川調査を再度実施しました。今回は、研究室の大学院生2名と一緒です。期間は11月8日から12日の5日間でした。このところの不順な天候のため、別寒辺牛川の増水が心配でしたが、案の定、10月初旬とさほど変わらぬ高い水位に悩まされました。今回の調査の目的は、大きく分けて3つあります。ひとつは、7月から開始した上流域の水位観測データを回収することです。チャンベツ川、別寒辺牛川、トライベツ川の三つの支流にそれぞれ水位計を設置しましたが、10月初旬は水位が高く、これらの機材を回収することができませんでした。今回は、冬が来る前になんとしても機材を撤収し、7月以降の水位・水温データを回収する必要がありました。この仕事は、博士課程2年の丁さんが主に担当しました。一桁しかない水温の河川に入って機材を回収する作業は、ドライスーツを着ていても大変つらい作業です。丁さんの頑張りにより、これらの3つの水位計は全て回収され、7月以降の上流域における水位・水温データの取得に成功しました。二つ目の課題は、ここ数年流量観測を継続しているRB1と名付けた中流域の観測点での流量の連続観測です。この観測には、ADCPと呼ばれる係留型の観測機材を河床に設置する必要があるのですが、RB1の水位は観測が可能な水位を越えており、残念ながらこの課題は断念せざるを得ませんでした。三つ目は、修士課程1年の竹内さんが取り組んでいる流域の各地点における河川水中のCDOM濃度の観測です。CDOMセンサーと呼ばれる機材で現場の河川水中のCDOM濃度を測定すると同時に、河川水を採水し、厚岸にある北海道大学の臨海実験所において、採水した水試料の吸光度を測定します。これにより、CDOMセンサーで測定した値をCDOM濃度に換算することが可能となります。CDOMは衛星観測によっても追跡できるので、現場で得た河川水のCDOM濃度をリファレンスとし、別寒辺牛川から厚岸湖・厚岸湾に流出するCDOMを衛星データで追跡することが竹内さんの修士論文のテーマです。
 以上、今回の観測はできなかったこともありましたが、予定していた観測の多くを完了することができました。今後は、別寒辺牛川が結氷する1月中旬以降、および3月の融雪洪水時に同様な観測を実施する予定です。今回の観測では、いつものように北海道大学厚岸臨海実験所、ならびに水鳥観察館にお世話になりました。仲岡教授、伊佐田准教授、澁谷さんを始めとするスタッフの皆様に感謝いたします。

RB0水位計回収