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低温科学研究所 環オホーツク観測研究センターが中心となって企画立案した研究プロジェクトが科学研究費 基盤研究Aとして採択の内定をいただきました。平成29年度から31年度にかけて、カムチャツカを舞台に、陸と海をつなぐ研究を実施します。

研究代表者:三寺史夫(北海道大学 低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター長)
研究課題名:カムチャツカ半島の淡水供給が制御する環オホーツク陸海結合システム
研究分担者:白岩孝行・西岡純・中村知裕・的場澄人・杉山慎・立花義裕・美山透
連携研究者:中田聡史・中野渡拓也・藤井陽介・田口文明

Kamchatka river

低温科学研究所が発行している低温研ニュースに、2016年の国後島での河川調査について書きました。

低温研ニュース No.42

Sasaki,H., Matoba, S., Shiraiwa, T. and Benson, C.S. (2016) Temporal Variation in Iron Flux Deposition onto the Northern North Pacific Reconstructed from an Ice Core Drilled at Mount Wrangell, Alaska, SOLA, 12, 287-290.

福田知子・押田龍夫・Nevedomskaya Irina A.・Bobyr Igor G.・八木欣平・河合久仁子・白岩孝行・大泰司紀之 (2016): 国後島の「ストルボフスキー生態観察路」の生物相概説,哺乳類科学,56(1),71-76.

平成27年度科学研究費助成事業に申請していた下記の課題が採択されたと内定をいただきました。2005-2009年度に実施したアムール・オホーツクプロジェクト終了以降、もっとも取り組みたかった研究課題なので、研究分担者と協力しながら、3年間、心して研究に励みたいと思います。

基盤研究B(海外)『永久凍土の変動がアムール川流域の溶存鉄流出に果たす影響の解明』
研究代表者:白岩孝行(北海道大学)
研究分担者:楊宗興(東京農工大学)・長尾誠也(金沢大学)・大西健夫(岐阜大学)
研究期間:平成27〜29年度

また、流域に豊富に残る湿原域からの溶存鉄の流出過程を調べるため、北海道内の研究適地として猿払川を選び、公益財団法人 河川財団の平成27年度河川整備基金助成事業に研究申請したところ、こちらも採択のご連絡をいただきました。現在、研究を進めている風蓮湖流入河川と比較しながら2年間にわたって研究を進めていくことになります。

研究課題名『流域の自然湿原が河川水中の溶存鉄濃度に与える影響評価』
研究代表者:白岩孝行(北海道大学)
研究期間:平成27〜28年度

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12月に骨折のために延期した風蓮川の河川水サンプリングに出かけてきました。大学院生1名、学部学生1名と私の合計3人での調査です。今年の別海町は例年にない数の爆弾低気圧に襲われたためか、残雪も多く、川はまだ融雪洪水の状態ではありませんでした。折悪しく、寒波の影響でサンプリングを実施した3月24-25日は吹雪模様。25日に実施した風蓮川上流域の調査時は、視界も効かなくなるほどでした。うってかわって最終日の3月26日は晴天に恵まれ、札幌までの400kmは気持ちの良いドライブとなりました。

次回は融雪洪水を狙って4月中旬に再訪の予定です。

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しばらくご無沙汰していた道東の風蓮川流域でサンプリング調査を実施しました。今回は、この10月から研究室に加わったM1の高宮君、中国からの研究生である郭さん、牛君、張君ら4人の学生さんが同行しました。彼らはこれから河川研究にたずさわる予定です。

心配していた天候ですが、オホーツク海にあった低気圧に向かって南風が吹き込んだため、別海町は春を思わせる陽気に恵まれ、順調に二日間の河川水サンプリングを終了することができました。最初はおぼつかなかった作業ですが、二日ですっかり慣れたようで、最後のほうは大変効率良く作業を進めることができました。

秋の渇水期で流量もかなり減りましたが、川にはウグイの大群がいたり、バイカモとおぼしき水草が生えていたりと、秋の道東を満喫することができました。そうそう、ノコギリベツ川の湿原でタンチョウのつがいもみることができました。

次は凍結期直前のサンプリングです。

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2011年〜2013年の三年間にわたるアムール・オホーツクコンソーシアムの活動をまとめた報告書を出版しました。pdf版は以下でご覧下さい。

三井物産環境基金 2011-2013 最終報告書
オホーツク海の越境環境保全に向けた 認識共同体の構築と実践
アムール・オホーツクコンソーシアム編

新しい論文が出版されました。

Quantitative evaluation of iron transport processes in the Sea of Okhotsk

Jun Nishioka,Takeshi Nakatsuka, Kazuya Ono, Yu.N. Volkov, Alexey Scherbinin and Takayuki Shiraiwa

Progress in Oceanography
Volume 126, August 2014, Pages 180–193
DOI: 10.1016/j.pocean.2014.04.011

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2013年9月に発生したアムール川中流域の大洪水の影響を調べるため、また、アムール川の支流ブレヤ川の河川環境と溶存鉄の起源を調べるため、ロシア科学アカデミー極東支部の研究者と共に、ブレヤ川に流入するティルマ川の調査を実施しました。今回の調査は、今後予定している本格的な調査の予察調査と位置づけられます。ハバロフスクを出て戻るまで5日間の短い日程でしたが、ティルマ村から下流の100kmの区間をボートで探査することができました。途中、ティルマ川に流入する支流の山岳河川を遡ってみたところ、山岳帯においても河川水は琥珀色をしており、溶存有機物が多量に溶けていることを示唆していました。山岳地帯はカラマツやシラカンバを中心とするタイガですが、その林床にはミズゴケが生えており、おそらくは永久凍土の影響で地表付近の水文状態が過剰に保たれているのではないかと推察されました。2003年に完成したブレアダムの影響は、支流のティルマ川まで及んでおり、ダムによる貯水が広範囲に広がっていることがわかりました。