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7月 12

The Dilemma of Boundaries

The Dilemma of Boundaries

The Dilemma of Boundaries
Toward a New Concept of Catchment

Series: Global Environmental Studies
Taniguchi, Makoto; Shiraiwa, Takayuki (Eds.)
2012, XIII, 275 p. 82 illus., 47 in color.
ISBN 978-4-431-54034-2
DOI: 10.1007/978-4-431-54035-9_12

早いもので、今から3年近く前の2009年10月2日、京都の総合地球環境学研究所が、第4回地球研国際シンポジウム『境界のジレンマ-新しい流域概念の構築に向けて-』と題した国際シンポジウムを開催しました。このシンポジウムは、当時終了まで一年を残した私たちのアムール・オホーツクプロジェクトと、終了まで二年あった谷口真人さんの地下プロジェクトが共同で開催したシンポジウムです。
 我々は、オホーツク海や親潮の海洋基礎生産に与えるアムール川の影響を解明していく過程で、陸水の水文・生物地球化学過程が、海洋の種々の物理生物化学過程と切り離されて議論されている現実を痛切に感じていました。一方で、谷口さんらは、アジアの大都市の地下水を調べていく過程で、地表水と地下水が学問上も社会においても分断されて扱われてきた現実に直面していました。我々を取り巻く環境の理解において、たとえば陸水と海水を分ける海岸線や、地表水と地下水を分ける地表面が、自然科学的にも社会科学的にも極めて大きな影響をもつ境界としてクローズアップされてきたわけです。
 二つのプロジェクトに所属する研究者が議論を重ね、世界各地で環境システムに果たす様々な境界の役割を集め、その功罪と将来課題を議論しました。そして、我々が通常考えている流域だとか、集水域という概念を発展させ、様々なCatchmentが定義できることを示すことができました。
 3年かかりましたが、ようやくシンポジウムの成果が本になりました。世界の環境学に貢献できれば、編著者としてこれにまさる幸せはありません。是非、みかけたら手にとってご覧ください。

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