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6月 22

6月17日-7月4日 別寒辺牛川流量観測

月齢によって異なる潮汐の変化が湿原河川の感潮域の河川流出・流入量に与える影響を1年間にわたって北海道東部の厚岸湖に流入する別寒辺牛(べかんべうし)川で追いかけています。昨年の10月初旬、今年の3月下旬に続き、今回は3回目の観測となります。河口からおおよそ1.4km遡ったRB3地点に側線を設け、この側線を通過する河川流量を係留型のADCP (Sontek IQ-plus)と移動型のADCP (Sontek M9)で観測します。今回は、中潮〜小潮〜大潮〜中潮へと至る一連の月齢における連続データを取得すべく、研究室の2人の大学院生(丁・竹内)が観測にあたります。加えて、厚岸湾、厚岸湖、RB2地点(カヌー中間駅)、RB3地点(カヌー出発点)の水位データも連続で観測し、潮汐変化が別寒辺牛川の水位と流量に及ぼす影響を地点ごとに明らかにしたいと思っています。このテーマは大学院生の丁曼卉さんの博士研究のテーマです。
 一方、大学院生の竹内祥太さんは、別寒辺牛川から厚岸湖・厚岸湾に流出する有色溶存有機物(CDOM)の起源とその濃度・フラックスの空間的・時間的変化の解明に取り組んでいます。BB3とRB1地点にCDOM濃度、クロロフィルa濃度、濁度を計測するセンサーを設置し、時間と共に変化するCDOM濃度の観測を行います。また、流域の各地点で、河川水を採水し、そのCDOM濃度を分析する計画もあります。加えて、湿原の土壌水を吸引し、地下のCDOM濃度の測定も実施します。2週間の長期観測となりますが、2人の研究が順調に進むことを願っています。
 今回の観測でも、これまで同様、北海道大学フィールド科学センター厚岸臨海実験所、厚岸水鳥観察館の2機関には大変お世話になりました。北海道大学北方圏フィールド科学センターの柴田英昭教授には、現地調査にご協力いただきました。国立環境研究所の中田聡史博士には、CDOM、クロロフィルa, 濁度測定のための計器をお借りしました。ザイレムジャパンの中田正人氏にはADCP (Sontek M9)のレンタルと運用でお世話になりました。本研究は、北海道大学 低温科学研究所 開拓型共同研究「陸海結合システム:沿岸域の生物生産特性を制御する栄養物質のストイキオメトリー(代表 長尾誠也 金沢大学)、およびベルモントフォーラム ABRESOプロジェクト(代表 T. White, ペンシルバニア州立大学)の一環として実施されました。上記の機関と個人に記してお礼申し上げます。

別寒辺牛川