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3月 22

2022年3月24−27日 別寒辺牛川 流量観測

低温科学研究所が推進する共同研究「陸海結合システム:沿岸域の生物生産特性を制御する栄養物質のストイキオメトリー」(代表: 長尾誠也 金沢大学)の一環として、3月24日から27日にかけて今年最初の別寒辺牛川の流量観測を実施しました。別寒辺牛川、厚岸湖、厚岸湾、沿岸親潮を対象とした川と外洋をつなぐ物質の流れを捉えるための観測です。昨年の10月5日〜7日の3日間にわたって観測を行った最下流部の観測断面(RB3)に超音波ドップラー流速プロファイラー(Sontek IQ plus)を設置し、3月24日17:00から3月26日14:00までの小潮時に5分インターバルで流量データを測定しました。この観測に加え、3月25日と3月26日の下潮時に超音波流速計(Sontek RiverSurveyor M9)を用いて横断面の流量観測を行い、インデックス法を用いることでIQ plusで取得した流量の時系列データを補正しました。その結果、観測期間には約1,000,000立法米/日の淡水流出があったことが判明しました。昨年の10月初旬の大潮時には、降雨直後だったこともあり、約2,000,000立法米/日の流出量がありましたので、今回の流出量はおおよそ半分であったことになります。実は、今回の観測は春の融雪洪水を狙って計画したのですが、観測を行った3月24-26日は、まだ融雪があまり進んでおらず、むしろ冬季の終わりを代表するような流況でした。3月26日の夜半に低気圧が道東を通過したことにより激しい風雨がありました。その結果、3月27日には河川流量が増加したことを現地で確認しています。ただし、この河川流量の増加によって、本流と支流の上流から、たくさんの氷塊が流下を始め、カヌーで観測を実施するにはあまりに危険な状態となりました。このため、増水以降の流量データは観測できていません。融雪洪水時の流量観測は今後の課題です。
 この河川観測には、北海道大学低温科学研究所、北海道大学北方圏フィールド科学センター、同厚岸臨海実験所に関わる研究者と学生が参加しました。観測にあたっては、厚岸水鳥観察館の皆様にたいへんお世話になりました。記して感謝申し上げます。

別寒辺牛川と支流の大別川の合流点の空撮画像:大別川上流から流れてきた河氷がJR根室本線の橋脚で堰き止められている状況